And the extraordinariness which starts.
スローモーションだった。
黒を身にまとった人間が、地面を蹴ってこちらへ向かってくるのが見えた。
爪が鋭くとがっている。
混乱した頭でも理解できた。
俺、死ぬな。
「ちぇいさあああああああああぁ!!!」
「うおっ!?」
▼アリア は あしばらい を くりだした !
▼ノラ は こうげき を よけた !
俺は地面に倒れた。後ろから。
「雷炎弾!」
爆音と共に真横にいた敵が吹っ飛ぶ。それを見た残り2体は動揺したのか、動きを止めた。
「さっさと動けこのバカ!!」
「訳が分かんねぇ!!ちょっとは頭を整理させてくれ!!」
「後にしろ!死にたくないなら剣を構えろ!自分の身は自分で守れ!」
「んなこと言ったって・・・。」
チッ、とアリアが舌打ちをする。
「いいか、私にはお前を守る義務なんてないんだ。なんなら今お前を囮にして逃げたっていい。さっきのは気まぐれだ、次は無いぞ。」
顔が完全にヤンキーです。
「・・・分かったよ。」
渋々、剣を構える。使ったことなんて一度もないが、やらなければいけないらしい。
敵を見据える。あちらも完全に戦闘態勢だ。
とんとん、とアリアが肩を叩き、小声で話しかけてきた。
「なるべく私でやってしまいたいが、向こうはお前が一般人ってことに気づいてるだろう。恐らく先にお前をつぶしにくるはずだ。構えて、敵が突っ込んでくるのを待て。」
「それで大丈夫なのか?」
「知らん。私は基本一人で戦ってきたから、チームワークなんてもんは持ち合わせていない。お前が一人でやれ。さっき消した1体を見る限りあまり頭はよくないだろうし、そこまで戦闘能力が高いわけでもない。敵が突っ込んで来たら、詰め寄って、斬れ。」
指示すると、じゃあな、と言って、アリアは敵側に駆け出した。
・・・銃なのに接近戦で行くのか。
そして向こうも駆け出した。そのままアリアをスルー・・・かと思いきやアリアが「無視すんなやゴルァ!!!!」と本日二度目の足払い。そのまま一対一へ。
もう一体は俺の方に真っ直ぐ向かってきている。構える。
グッと足に力を込めて、見る。睨む。
相変わらず相手は覆面で表情が分からない。
ー何で俺こんなとこで戦ってんだろうなぁ。今日も平和に一日を過ごすつもりだったのに。
「訳分かんねぇ。」
ぼそりと呟いて、斬った。
And the extraordinariness which starts.(そして始まる非日常。)